いつもは、それぞれ反対方向に出勤する両親が、今日は二人仲良く並んで、町の中心部に向かって歩いて行くのが、僕の部屋の窓から見える。
大学で計算言語学を研究しているママが、今日はパパの会社で開かれるカンファレンスに出席するためだ。
パパの会社にとって、特にパパが担当する検索エンジンの概念設計にはママの研究が役立つらしい。
昨日のディナーでパパが楽しそうに説明してくれたけど、来週の月曜日から5年生になる僕には少し難しかった。
朝食の時にも、パパは昨日の続きを話そうとしていたが、僕はこの夏休みに一人でおばあちゃんの家に行った時のことを話題にした。
僕にとっては、21世紀最初の冒険旅行だったんだ。
ママのママ、グランマは日本の千葉に住んでいる。
最初はアメリカ人との結婚に反対したみたいだけど、今は僕たち家族とも仲がいい。
エアポートまでグランマに迎えに来てもらったけど、アメリカから日本まで一人で行ったことは僕の勲章だ。
日本で見た花火のことや、生まれて初めて食べたたくさんの料理のことを僕は話した。
何度も聞いた話だけどママとパパは初めて聞いたように喜んでくれた。
そして、8時にアパートメントを出て、二人仲良く並んでパパの職場に向かった。
僕はパパの職場には行ったことはないけれど、歩いて20分くらいだそうだ。
パパの歩くスピードだから、僕なら30分はかかると思う。
子ども一人の留守番だけど、僕たちの住んでいる州は10才以上であればOKだ。
僕には特にハンデキャップもない。
英語はネイティブだし、日本語もママのお蔭でグランマの所でもあまり苦労はしなかった。
それに大学が夏休みだから午前中でママは帰ってきてくれる。
僕の学校が始まる月曜日まで、今日が火曜日だから、あと一週間はママと二人でランチが楽しめる。
ママはパパの会社に行くのは初めてで、楽しそうにしていた。
ビルの上の方にパパのオフィスがあるので、僕が留守番をしているアパートメントを見つけようと楽しみにしていた。
僕の部屋の窓からはオフィスがあるビルははっきりと見えるんだけど、ママは見つけられるかな?
ここはニューヨーク、マンハッタン、窓からは仲良く並んだツインタワーが見える。
(完)

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